ザ・ライフ・カムパニイ
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ライフの舞台とは?

稽古の写真

ライフの舞台は他の舞台とは本質的に全く異なっています。

それは俳優が演じているのではなく、役が生きているからです。ライフの舞台は一見すると、どこにでもある舞台です。しかし、幕が開き俳優が登場して、ドラマが進んでいくと、観客は登場人物が生きている世界と同じ世界を生きはじめてくるのです。

観客はただ見ているのではなく、刻々と生み出すドラマを同時に体験しているのです。それは俳優がただ演じているのではなく、生きている役を演じているからなのです。

「自分探しの旅に出よう!」の舞台で、猫の大佐役の柳瀬大輔さんが「賛成の者は、右手をあげよ!」と言った時に、お客様の中に一緒に手を挙げたかたがいらっしゃいました。観客は自分の中に同時進行している舞台を楽しんでいたのだと思います。

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生きている役と、演じている役とは一体どこが違うのでしょうか。

ライフのオーデションは技術力やキャリアはさして重要ではありません。それよりも、舞台に生きている役を創造したいと思っていることが大事です。

「Hospital Hospital」の稽古で初日が近くなった日に、主役の客演の一人の俳優が「初日が迫ってくると、演出家もスタッフもキリキリして、俳優たちも皆ピリピリしてくるのに、誰もピリピリカリカリしない。こんなに穏やかに初日が迎えられるのは初めてです」と。「星の王子さま」に出演した鈴木ほのかさんも「ライフって不思議なところ」と言っていました。

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それは俳優に自分自身の仕事をしてほしいので、どこまでも俳優のための稽古をしているからです。そして初日は、舞台と観客がひとつの世界に溶け合った”俳優も観客も生きている世界”が生み出されてきました。

舞台は演出家の為に存在しているのではありません。舞台で全力で仕事をする俳優の為にあるのです。そして俳優は何のために舞台に出て、歌い、演じ、踊るのか。

それは観客という人の心に触れる為なのです。演出家の仕事は、その俳優の仕事を助けるために存在しているのです。

ライフの稽古の進め方

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プリンシパルという主役クラスのキャストとはどんな稽古をしているのでしょうか。鈴木ほのかさん、白川和子さん、柳瀬大輔さん、松原剛志さん、野田久美子さんなどとの主役キャストとは一対一のマンツーマンで、演出家とキャストの二人きりで、それも3~4時間かけてたっぷりと稽古をします。

なぜマンツーマンの稽古が必要なのでしょうか。商業演劇やプロデュース公演に出ている俳優は年に何本もの公演をこなし、役を深める間もなく次から次へと役を演じていかなければなりません。限られた時間の中では役の創造はままならないものがあります。この稽古の目的は、役の台詞にリアルな感情を入れる為のものではありません。一言で説明するのは難しいのですが、作品のもっているテーマを役のパーソナリティに息づかせるため、つまり演じるのではなく生きた役を生み出すためともいえます。

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プロの俳優でも相手役との感情のやり取りや、その場の役の緊張感のある感情などを巧みに演じようとしますが、役に与えられている作品のテーマを担うパーソナリティという、一個の人間存在まで創造しようとはしない傾向性があります。いわゆる巧みに演じてはいるが、生きて呼吸している人間存在そのものの役が創造されるのは難しいのです。

演じるのではなく、役に生命を与える――この本質が稽古の一貫しているテーマです。演じれば観客の目や耳には入っていけますが、心まで入っていくのは難しい。役に生命が宿ったとき、観客の生命が動き出すのです。“芸術に独創はいらない。生命がいる”(ロダン)――ロダンの彫刻は生きているように息づいています。

役に生命が宿ったとき、観客の生命が動き出すのです。主役キャスト以外の俳優ともこのテーマをベースに稽古を深めて行きます。主役キャストとアンサンブルの俳優たちが一体となって舞台に生きている役を生み出した時、ミュージカルの本来もっている大いなるドラマの世界が創造されるのです。

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