ザ・ライフ・カムパニイ
ザ・ライフ・カムパニイ

なぜ舞台に立つの?

ユーディメニューイン

〈音楽はなぜうまれたのか〉
他人の心に何とかしてふれたいというやむにやまれぬ欲求からうまれた。

一世を風靡した世界的バイオリニストの言葉はさすがに深いものがあります。メニューインの出す音を聴きたくて観客が劇場に集ってくる。それは彼が生み出す音を通して人の心に触れてきてくれるからです。

バイオリニストである前に、大きな心をもった人間性を感じます。その心が音に生命を与えるのではないかと思います。

生きている表現はどこから生まれるのか。芸術の創造は心が大切であることを、メニューインは教えてくれているのではないのでしょうか。

元ベルリンフィルの指揮者 ヘルベルト・フォン・カラヤン

私たちの職業において、華麗に演奏することやテクニックに熟達することは、さして難しいことではありません。
最終的な手段として本当に重要なのは指揮者の人間性なのです。なぜならば、音楽は人間が人間の為に創るものだからです。
音符以上のものを見出さなかったら、それがいくら興味深いものだとしても人間を豊かにはしません。
音楽の目的はただ一つ、人間を豊かにし、様々な意味合いで人間が失ったものを取り戻すことなのです。

わたしたちの創造する芸術に目的はあるのでしょうか。歌いたいから唄う。踊りたいから踊る。絵を描きたいから描く。しかしそこにカラヤンは「人間が失ったものを取り戻す」ことが目的であると語っています。そして創造する人の人間性が重要であるとも言っています。

はたして人間性が創造にどう関わってくるのでしょうか。経験上感じていることがあります。深いものを創造するにはその人が奥深い人間力を持っていないと生み出せない。そして奥深い人間性が人の心に触れてくる「音符以上のもの」を生み出す力を持っているということです。

音符以上の何かを生み出すために、私たちは自分の人間性の旅をしているのかもしれません。芸術の創造は何のために――この常なる問いかけは大事なことなのです。

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