ザ・ライフ・カムパニイ
ザ・ライフ・カムパニイ

舞台に生きるとは?

ウェイン・ショーター

最初に日本を訪問した時、私たちが頻繁に耳にしたのは、「オリジナリティー(独創性)とはどういうものですか」「モダンジャズとはどんなものですか」という質問でした。ブレイキーはいつも、「心で演奏することだ」と答えていました。
「ジャズの演奏は、クリニカル(分析的・客観的)に考えたり、アカデミック(学問的)に考えてはいけない。クリニカルに演奏するな!分析や客観にはストーリー(物語)がない。君の心をさらけ出すのだ!君の心にあるのは何だ?それを吐き出すのだ!」「ステージでは聴衆をごまかすな。楽器の陰に隠れるな。トランペットの陰に隠れるな!」ブレイキーのこの言葉は、音楽だけでなく、人生万般に通じる言葉だと思います。

松原剛志さんとこのショーターの言葉を参考にして稽古をしたとき、松原さんが「ワァー、これは勇気がいる!」と絶句し、しばし稽古が中断しました。そして松原さんはいっとき沈黙したあと絞り出すように、役の作った台詞ではなく自身の内にある自分の言葉で語り始めました。そこに、今まで聞いたことのない、生きた役の台詞が息づいてきたのです。

役を創造するとき、自分という人間を参加させなければ、本当に生きた役が生まれてくるのは難しいのです。「台詞の陰に隠れるな」「役の陰に隠れるな」とも読めるこのブレーキ―の言葉はとても大切です。

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